「安倍晋三首相の桜を見る会に招待されたマルチ」

としてニュースでも話題になったジャパンライフ。
2400億円以上の負債を抱え、東京地方裁判所から破産開始決定が出されました。

ジャパンライフは、破産するまでに販売形態を何度も変えています。
その中の1つがマルチ商法、いわゆるネットワークビジネスです。

ネットワークビジネスは、特定商取引法上「連鎖販売取引」として認められている真っ当な販売手法の1つです。

製品の愛用者を増やす、それが収入を生むビジネスになる。
国土の広いアメリカで、弱小会社が商品を広めるために生まれた手法です。

質の高い製品が、広まるのは良いことです。
ただし、安価で負担が少ないものであれば。

ジャパンライフではその販売方法が悪用された形になってしまいました。
本当に残念なことです。

今回は、ジャパンライフの破産から、ネットワークビジネスがどうあるべきかを考えてみたいと思います。

会社沿革

会長であった山口隆祥氏が事業を興した1961(昭和36)年に、話はさかのぼります。

1961(昭和36)年、日本電気通信協会設立

電話の付属製品を販売する会社として設立されました。

1971(昭和46)年、ジェッカーチェーン株式会社設立

ジェッカーとは、上に述べた「日本電気通信協会」の英語名「Japan Electronic Communication Association」の頭文字「JECA」をローマ字読みしたものということです。

電話の付属製品を販売する加盟店を募集し、育成を開始します。

会社設立からわずか4年で、関連会社を合わせ資本金5億7900万円・社員数約400人、加盟店約1500店・従業員数7000人-8000人の規模にまで成長しました。

1975(昭和50)年3月、ジャパンライフ株式会社設立

しかし、急成長の裏にはやはり無理な販売、無理な加盟店拡大があったようです。
販売手法をめぐり、衆議院の「物価問題等に関する特別委員会」に参考人招致され、追及を受けます。

1975(昭和50)年5月13日のことです。

ジャパンライフの設立は、国会での追及による業績悪化・倒産を見越してのことだったのでしょう。

会社の実質は、ジェッカーチェーンからジャパンライフに移っていったものと思われます。

1976(昭和51)年、ジェッカーチェーン株式会社倒産

やはりと言うべきか、ジェッカーチェーンは倒産します。
銀行取引停止処分を受けたためです。

国会での追及の影響は大きいものでした。

しかし、会社の実質はジャパンライフに移っていたと思われ、その後、ジャパンライフは急成長します。

一方で、収支や経理の不透明さも問題になり始めます。

1983(昭和58)年、山口隆祥氏、法人税法違反で告発を受ける
1985(昭和60)年、売上1509億円に

同時期、ネットワークビジネスを悪用した豊田商事事件が発生し、ジャパンライフにも追及の矛先が向けられます。

やはり、ジェッカーチェーン時代と同じように、無理な販売や加盟店の勧誘が行われていたようです。

12月10日、衆議院の商工委員会でジャパンライフ問題に関する集中審議が行われました。

法人税法違反による告発、衆議院での集中審議もあり、山口隆祥氏は社長を退き会長に、社長には、元警察官僚でねずみ講を取り締まる警察庁生活安全局保安課長を務めた相川孝氏が就任した。

相川氏の就任は、警察対策であるとも言われています。

2007(平成19)年、娘の山口ひろみ氏社長就任

社長が娘のひろみ氏に変わっても、販売手法は相変わらずだったと推測されます。

2014(平成26)年、消費者庁より文書にて行政指導
2015(平成27)年7月、元消費者庁官僚、顧問に就任

2015(平成27)年9月10日、消費者庁の立入検査

ついに、行政の手が入ります。
行政が介入する前には数年に渡る調査を経ているので、相当の調査資料や裁判になったときの証拠書類を準備できていたはずです。

そうでなければ、行政は介入しません。

問題の、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」に招待されたものこの時期です。

ジャパンライフは、元消費者庁官僚を顧問に迎え、政界への働きかけを行いましたが功を奏することはありませんでした。

2015(平成27)年10月1日、販売業態を転換

無店舗販売を店舗販売に
訪問販売・連鎖販売取引・預託取引を業務提供誘引販売取引に

それぞれ移行しました。

ちなみに、預託取引とは、預託等取引業者が3ヶ月以上の期間にわたり預託を受け、その預託によって得られた利益を供与する取引です。

例えば、ゴルフ会員権を販売したとき、会員証を引き渡しのではなく「預り証」を発行し、会員権を運用して利益を出し、購入者に還元するという手法です。

別名「現物まがい商法」「ペーパー商法」「オーナー商法」と、いくつもの異名があります。

しかし、その実態は、運用した実態もなく、商品自体が存在していない場合がほとんどであり、説明が虚偽であることがわかります。

また、業務提供誘引販売取引とは、業者が販売する広義の商品又は提供する役務を利用する業務により、顧客に対して利益(「業務提供利益」という)が得られるとして誘引(勧誘)し、商品あるいは役務の代金を支払わせる取引のことをいいます。

例えば、浄水器を購入してモニター会員となり、利用した感想を提供することで謝礼を受け取ることが出来ることを指します。

この場合、購入する商品やサービスは高額なものであることが多いです。

ジャパンライフは、磁気治療器を100〜600万円で販売し、購入した会員が第三者に利用させることで、年6%の利益を得られるという「レンタルオーナー契約」を始めました。

しかし、その強引な勧誘方法が問題となり、迷惑解除妨害など特定商取引法に違反する行為を繰り返し行い、4度も行政処分(業務停止命令)を受けます。

2016(平成28)年12月16日、業務停止命令(訪問販売・3ヶ月)
2017(平成29)年3月15日、業務停止命令(連鎖販売取引・9ヶ月)
2017(平成29)年11月17日、業務停止命令(業務提供誘引販売取引・12ヶ月)
2017(平成29)年12月15日、業務停止命令(連鎖販売取引・12ヶ月)

業務停止命令中であったにもかかわらず、2017年5月16日、都内のホテルで有名演歌歌手を招き歌謡ショーを開催します。

この中で、山口隆祥氏は磁気治療器を実演し
「腰痛や膝痛、全部解決する」
「3月に売上過去最高30億円を達成」
「すごい産業になる」

と、大々的に勧誘を行います。

このときの映像が内部告発され、5月24日の参議院財政金融委員会で批判を受けています。

2017(平成29)年12月12日、本社不動産売却

4度目の業務停止命令を受ける直前、本社不動産を売却します。
倒産後の支払等に充てるためであると思われます。

2017(平成29)年12月15日、山口ひろみ氏社長辞任

4度目の業務停止命令を受け、山口ひろみ氏が社長を辞任します。
この時点で、破産する準備ができていたのでしょう。

2017(平成29)年、12月20日、告発状提出

ジャパンライフの被害者とその弁護団は、巨額の債務超過であることを隠して勧誘した詐欺や預託法違反の疑いで、愛知県警察に告発状を提出します。

2017(平成29)年12月26日、ジャパンライフ倒産

12月20日、21日と2日連続で手形が不渡りになったことから、取引銀行より取引停止処分を受け倒産しました。

問題点

ジャパンライフは、通算して6回行政からの介入を受けています。

処分を受けた中でも、ジャパンライフは回数が突出しています。
それだけ違法な勧誘を繰り返していたということでしょう。

違法な勧誘の実態を見てみたいと思います。

MLMの悪用

ネットワークビジネスは、良い製品があり、その製品の愛用者を増やすことがビジネスになります。
しかし、一歩間違えば被害者を生み出してしまいます。

行政の聞き取りからわかった事実は以下のとおりです。

ジャパンライフは、次のような行為を繰り返していました。

商品不足の不告知

平成27年5月下旬から平成27年7月下旬までの間に,自己及び親族名義でジャパンライフと契約を結んだ取引の相手方Cは,勧誘時の状況に ついて,「同店の店長J2は,私の自宅や畑に来て,契約を結ぶように勧めてきた。そして,私は,自宅や畑で,J2に対して,『いくらいくら入れようかね。』と言って契約を結ぶつもりであることを伝えると,J2は,『今後,農協に行って,お金を下ろしましょう。』と私に言い,ジャパンライフ の口座に振り込むためのお金を下ろすために,お金を積んである農協に行く日を決めていた。」,「私は,J2からもジャパンライフの誰からも,契約を結ぶように勧められた際,商品があるとかないとか,そういった個数に関することについては一切説明されていなかった。」と述べ,連鎖販売取引における売買契約の締結について勧誘を受けた際,前記事実を告げられていなかったと供述している。

商品が不足しており、すぐに提供されない状況であることについて、何ら説明がありませんでした。
商品について何ら説明せず、お金を振り込むことだけを催促する。

一体自分が何のためにお金を出すのかわからない、これではビジネスとは言えません。

契約解除の妨害行為

平成29年8月中旬、同社の契約者である消費者Dは、同社の××店に電話をしたが、担当者がなかなか電話に出てくれなかった。ようやくある担当者につながって○○○万円の解約を求めたところ、「後から連絡する。」と言われた。
翌日、同社の担当者から電話があり、解約するためには、同月の20日が締切りであること、さらに、エリアマネージャーとの面談を受けないと解約できないと言われた。消費者Dは、いつでも自由にお金を下ろせるということで契約していたつもりだったのに、締切りの日があることや面談を受けなければ解約できないことを知って心配になった。
その後、消費者Dは、同社の本社にある、お客様相談室に電話をして、○○○万円の解約をしたいと伝えると、お客様相談室の担当者から、解約は店舗扱いになるので、店舗に申し出てくださいと言われた。
数日後、消費者Dは、同社の××店に解約手続に行ったところ、店長のZが来ていて、消費者Dが○○○万円を下ろしたいと言うと、Zは、「どうしてそ んなにお金がいるのか。○○○万円もいらないでしょ。」と言った。消費者D は、色々と話すうちに、結局半分の△△△万円を解約することとなった。

ネットワークビジネスは
「好きな時に始められ、好きな時に辞められる」

だから、普通の人でも、正しい努力をすれば成功できるビジネスです。
反対に、合わないと思ったら、いつ辞めても批判されることはありません。

解約するのに一定の手続が必要であっても、解約を妨げるようなことは絶対してはいけません。

事実の不告知

消費者Cは、「平成29年9月中旬に同社の××店で、チラシの内容について説明を受けたときには、赤字とか債務超過についての説明は一切なかった。」 と述べている。消費者Cが、同社の財産の状況について知ったのは、その後、 9月下旬に、○○市消費生活センターに相談に行った際、相談員から教えてもらった時だった。
消費者Cは、「もし、同社に数百億もの赤字があり、債務超過の状況であることを知らされていれば、絶対に契約をしようとは思わなかった。」と述べている。

会社が健全にビジネスをすることは「大前提」です。

業務停止命令を受け、新規顧客を受け付けられないことは公になっていることなので、ちゃんと説明されるべきです。
行政処分を受ける、そんな会社に入ろう思う人がいるでしょうか。

まとめ

このように、ジャパンライフはネットワークビジネスというビジネスモデルを悪用して、実態を隠した勧誘を続けていました。

上記はほんの一例です。

行政処分を受け、業務停止命令となれば、新規顧客の受付ができなくなるため一気に財務状況が悪化します。
そうすれば、倒産への道をまっしぐらです。

本来のネットワークビジネスから大きく外れ、勧誘した人からお金を搾り取るためにネットワークビジネスを利用していたと思われても仕方ありません。

MLMのあるべき姿

では、ジャパンライフを教訓にして、ネットワークビジネスとはいかにあるべきかを考えてみましょう。

普通の人でも成功できるのがネットワークビジネスの魅力です。
ただし、そのためには条件があると思われます。

健全・堅実

まず、会社の経営自体が健全・堅実であることです。

どれだけ良い製品を開発していたとしても、財務状況が火の車であれば、どうしてもお金儲けに走ってしまいます。

ジャパンライフのように、強引で無理な勧誘を繰り返すようになります。

一時は、お金を集めることができるでしょう。
売上を繕うこともできるかもしれません。

しかし、結局は、そうして集めたお金など「焼け石に水」にしかならず、会社自体が継続できなくなってしまいます。

真っ当に商売をすることが大切です。

負担の少ないこと

ジャパンライフは、100〜600万円もする超高額な製品を会員に買わせていました。

当然買わされた会員は
「友人・知人に利用してもらうだけでは微々たる収入にしかならない」
「製品を買ってもらう人を集めなければ自分が代金を支払えない」

という切羽詰った気持ちから、平常心を失い、人を騙してまで勧誘するようになってしまいました。
本当に悲しいことです。

ネットワークビジネスに参加するのは、経済的な余裕があるとは言えない方々です。
その気持ちを、ある意味利用したことになります。

経済的な負担だけでなく、精神的な負担も大きかったことでしょう。

それでは、ネットワークビジネスを継続していくことはできません。

収入の実感

数百万円もする商品を買ったなら、数千円の収入など、収入とは感じられないでしょう。

一方、負担が月に数千円程度とごく軽いものであれば、たとえ数百円の収入から始まったとしても
「ちゃんと収入になるんだ」
と実感することができるようになります。

そして、ネットワークビジネスを頑張ろうという思いが湧いてきます。

収入の実感は金額ではありません。
相対的に、自分が負担する分と、収入として入ってくる分を天秤にかけているのです。

負担があまりにも大きければ、一般的には「収入」だと思える金額でも、収入とは思えなくなります。

たとえ数百円でも、早い段階で収入を得られる実感は、負担か軽ければ軽いほど大きくなります。

その実感がモチベーションを維持します。

まとめ

では、日本でネットワークビジネスを主催する会社の中で、上のような条件を満たすところはあるでしょうか。

残念ながらほとんどありません。

多くは、実際に参加してみると、月に数万円の定期購入を求められ、セミナーやミーティングも有料です。

「チャンスの提供」

と謳っていながら、その多くは

「犠牲の提供」

になっているのが現実です。

ですから、会社選びは慎重にしなければなりません。

甘い言葉に惑わされず、自分で調べ、自分で考えた上で参加するかどうかを決めましょう。

普通の人であるあなたが成功するためには、それが最も重要です。