「将来のために何かを始めなくては」

そう思って、起業を志す人が多くいます。

新しいビジネスを興そうとすること自体は、決して悪いことではありません。

しかし、これまで会社員としてしか生きてこなかったのに、いきなりビジネスをすることも難しいものです。

そのため、起業に関するセミナーに通う人が多いのです。

「好きなことをビジネスにしよう!」
「アイデアを一緒に考え形にしましょう!」

その言葉を信じたくなるのも分かります。

ところが、ビジネス初心者であるあなたは知らないのです。

その言葉の裏に隠されているからくりを。

そのからくりを見抜けなければ、いつまでも、何も変わらない状況のままになってしまうでしょう。

始まりは小さなセミナー

サイト(ブログ)
twitter
Facebook
Instagram

検索したり、つながっている人がいいねをしていたりすると、起業に関するセミナーの情報を発信している記事・投稿を目にすることがあります。

あなたも見たことはありませんか?

例えば、インターネットでの検索。

検索すると、イベントサイトの募集記事、個人事業主のFacebookなど、様々な情報が検索に引っかかります。

「将来起業して自分でビジネスをしたい」

そう思っているあなたは、いくつかサイトを見てみます。

この点、多くの人は、検索した1ページ目の10サイトほどしか見ることはありません。

あなたも、検索に表示されているタイトルから、5サイトくらいを見比べて、あるサイトで紹介されている内容に目を留めます。

「サラリーマンでも家族を大切にしながら起業できる」

あなたは

「起業はしたいけど、家族のことも大切だし、どっちもできるやり方なら知りたい」

と思い、参加費も3000円で、今なら期間限定で無料となっていたので、早速申し込みます。

場所は、あまり行ったことのない駅の近くで、会場に着くと小さな雑居ビル。

「ここで大丈夫かな?」

と思いつつ、指定された会議室に入ります。

参加者とちょっと仲良く

小さな会議室で周りを見渡すと、同じような年代の人が多く、ちょっとだけ安心します。

セミナーが始まると、主催者の自己紹介から始まります。

どのようにしてセミナーをすることになったのか、その経緯を聞くと

「そんな経験をしてきたんだ」

と、うなずけることも多くあります。

続いて、参加者の自己紹介。

それぞれの境遇や目指すものを話していきます。

「家族を大切にしながら、自分でビジネスをしてお金を稼げるようになって、将来に備えたいと思って参加しました。」

と、あなたも簡潔に自己紹介します。

セミナーでは、マーケティングの基礎的なこと、自分がビジネスを立ち上げるまでに必要になるスキルなどについて講義がされていきます。

途中、参加者同士が組、あるいはグループになって話し合うことも。

「こういうことが必要になるんじゃないですかね」
「でも、それだけだと他と変わらないんじゃないかな」

大体、90~120分のセミナーの中で、2,3回はこうしたグループディスカッションが行われます。

休憩時間には、同じグループになった人と談笑するようになり、緊張感がほぐれていきます。

普段の会社勤めでは、マーケティングやビジネスに関する話など聞くことはありません。

聞く話の多くが新鮮に聞こえます。

他の参加者とも打ち解けてきたこともあり

「セミナーに参加して良かったかも」

と思い始めます。

そう思ったところで、セミナーは終わりに近づきます。

最後にこんな案内が

セミナーが終わりに近づいたころ、主催者から

「今日の学びをもっと深めたいと思った方は、ぜひ、こちらの講座にお申し込みください。」

「今日、申し込みを決めた方には、特別に半額で受講していただけます。」

「支払方法も分割で対応できますので、ご相談ください。」

「やると決めたら、リスクを背負うことも覚悟しなければ成功できませんよ!」

という言葉が。

59万8000円というかなり高額なセミナーでも

「半額」
「分割OK」

と魅力的な提案があり

「成功しなければ」

という強い思いが出てきたことから、あなたは、高額セミナーに申し込みます。

起業系セミナーのからくり

起業系だけではありませんが、セミナーにはちゃんとからくりがあります。

セミナーには2種類あることはご存じでしょうか?

公的機関などが行っている「情報提供型」
会社や個人事業主が行う「顧客獲得型」

起業系セミナーは、当然「顧客獲得型」です。

無料・低額の「フロントエンド」

顧客獲得型セミナーでは、最初、無料あるいは3000円以下の受講料のセミナーに参加してもらいます。

受講料を3000円以下にするのは、敷居をできる限り低くするためです。

3000円を超えてしまうと、それだけで大きなハードルになってしまいます。

無料ということもありますが、特に個人事業主や個人成りの会社が主催するセミナーでは逆に怪しまれる原因になります。

そのため、1000~3000円の受講料が設定されていることが多いでしょう。

心理的にも、3000円以下であれば

「良い情報が聞けるならいいかな」
「3000円くらいだったらダメでも仕方ない」

と許容できる範囲です。

グループで緊張をほぐす

セミナーでは、参加者が少ない場合は2人1組で、ある程度多いときはグループになることがあります。

参加者は、それぞれ初対面であり、赤の他人です。

セミナーが始まる前は、会場が静まり返っており、主催者が用意した音楽が流れているくらいです。

緊張感は「警戒心」を生みます。

参加者に警戒されていては、セミナーの「真の目的」が達成されません。

いくら主催者のトークが上手でも、お笑い芸人ではありません。

主催者だけで緊張をほぐすのには限界があります。

ですから、参加者同士でグループを組ませてコミュニケーションさせることで、セミナー中に仲良くなってもらう必要があるのです。

課題解決を体験させる

セミナー中、2,3回テーマが出され、グループでディスカッションすることが求められます。

話し合う内容自体は大したことのない内容です。

マーケティング関連の書籍を読めば分かることです。

結論を出すこと自体を目的にしたものではありません。

「セミナーが役に立った」

と思わせるためです。

テーマ自体は大したことがなくても、話し合って他の人の視点を知ることはできます。

課題は解決していなくても

「普段とは違うものを体験できた」

と思わせることができます。

そうして、主催者の提供するものが「価値あるもの」と思い込ませることができるようになります。

この「価値あるもの」と思わせることが重要です。

価値あるものと思ってもらうことで「真の目的」を達成できます。

高額な「バックエンド」

セミナーの最後には、必ず別セミナーの案内があります。

「学びを深める」
「チャンスを逃さない」
「決めることが大切」

など、様々な言葉を弄して何十万円もする高額なセミナーに申し込ませようとします。

そうです。

セミナーの「真の目的」は、この高額セミナーに申し込ませることにあります。

平均して30万円から50万円、場合によっては100万円を超える高額セミナーもあります。

彼らは、この高額セミナーを売らなければ生活ができません。

ですから、様々な言葉を弄して決断を迫ります。

また、決断をさせるために、セミナーを組み立てて「価値あるもの」と思い込ませるようにしています。

それに気づかない多くの人は、その言葉を鵜呑みにして申し込んでしまいます。

こうした参加者がいるから、彼らも生きながらえています。

フロント→バックエンド

起業系セミナーの「肝」は

〇無料・低額のフロントセミナー
〇セミナーの「価値」を植え付ける
〇高額なバックエンドセミナーを買わせる

です。

つまり

「フロント → バックエンド」

の流れで高額セミナーを買わせることです。

彼ら起業系セミナーを主催する個人事業主、あるいは個人成りの会社代表は

「自分のセミナーには価値がある」

と強調します。

しかし、彼らのセミナーは、自ら生み出した理論や実践方法ではありません。

有名なマーケティングに関する書籍などの受け売り
あるいは
自分が参加した高額セミナーの内容のパクリ

でしかありません。

そんなものに何十万円、何百万円と支払う人がいる

本当に残念なことです。

マイナスは一切伝えない

「起業した人の90%以上は5年以内に廃業する」

という厳然とした事実があります。

個人が起業するということは、それほど難しいことなのです。

個人であれば、起業したビジネスで仕事がなくても生活していける経済的基盤を作らなければ、軌道に乗るまで耐えることはできません。

しかし、セミナー主催者である個人事業主たちは、そうした事実を一切伝えません。

伝えてしまったら

「そんなにリスクのあることなんてできない!」

と思うのが普通だからです。

誰も高額セミナーを買ってくれなくなります。

しかし、よく考えてみてください。

本当に起業したい参加者のためを思うなら、そうした事実をちゃんと伝えたうえで、経済的基盤を用意するための手法も提案できなければいけません。

彼ら主催者はそんなことをしません。

できる知識も手法もないからです。

その後に残るもの

多くの人は、希望を抱いてセミナーに参加します。

「セミナーが終わるころには稼げるようになっているかも」
「独立して自由な時間が過ごせるようになるかも」

その期待は見事に裏切られます。

勢いで会社を辞める人も

高額セミナーでは、毎回課題が出され、それをこなしていくことが求められます。

そのためにはモチベーションを維持しなければなりません。

ですから、主催者はあの手この手で離脱するのを防ごうとします。

例えば、有名な人の言葉や著作を引用して説明します。

あるときは、自分の体験を交えて苦労話をすることもあります。

すると、中には会社を辞める人も出てきます。

他の参加者からは

「ビジネスが軌道に乗るまで会社は辞めない方がいいよ」

と諭す声も上がります。

しかし、本人は

「やるなら自分を追い込まなければいけない」

という思いがあるようで、あっさりと会社を辞めてしまいました。

その人は、アルバイトをしながらセミナーに参加していましたが、後々

「会社を辞めなければよかった」

と言うようになりました。

こうなってしまっては後の祭りです。

高額な借金

中には一括で振り込める人もいるでしょう。

しかし、多くの人は一括で振り込めるだけの経済的余裕がないので、クレジットカードを利用した分割払いを選択します。

それまでクレジットカードの支払いは一括で済ませていた人が、いきなり何十万円もの負担を抱えることになります。

分割ということは、当然「利息」がかかります。

日本は20年ほど前から、預金金利(年率)がほぼ「0(ゼロ)」に近い状況です。

いくら貯金しようと、まったく利息が付きません。

一方、クレジットカードの分割手数料は最大年率15%です。

たとえ分割回数が少なくても、2,3%の手数料は取られてしまいます。

そう考えたとき、高額セミナーの負担がどれだけ大きなものになるのか容易に想像できます。

クレジットカードは、一括で支払っているならば、単なる「後払い」にすぎません。

翌月に銀行口座から引き落とされるのですから。

しかし、分割やリボ払いにした瞬間「借金」に変わります。

もちろん、すべての借金が悪いわけではありません。

必要な時に、必要なお金を借りることはビジネスをする上で大切になることもあります。

ただ、高額セミナーを受講するために借金をすることは、良いお金の使い方ではありません。

主催者と連絡取れず

高額セミナーも終わりに近づくと

「この数ヶ月間、皆さんよく頑張りました」

と、褒めることを欠かしませんが、その後で

「セミナーが終わってもアフターフォローが必要になることも多いでしょう。そのために特別な講座を用意しています。」

と更なる高額セミナーが案内されます。

たった数か月では、当然稼げるようになんてなれません。

多くの人が、継続して受講することを希望します。

これも、主催者の狙いです。

お金を払ってくれる人を逃がさないように、すべてを高額セミナーで教えるわけではありませんし、教えられることもありません。

たいていは「グループコンサル」と称して、各自からの相談に数ヶ月間優先的に答えることを内容にしたセミナーになっています。

では、更なる高額セミナーを受けなかった人はどうか。

セミナーが終わってしまうと、主催者とは連絡が取りにくくなります。

何か質問しても、返信が来るのに日数がかかるようになります。

つまり、主催者にとってはお金を払ってくれるうちは「仲間」ですが、お金を払ってくれなければ「放置」です。

そうです。

参加者が成功できるかどうかは、どうでもいいことなのです。

参加者とも音信不通に

セミナーが終わっても、しばらくは参加者同士で連絡を取り合います。

勉強会を開いたり、お酒を飲みに行ったりして、情報交換や相談をすることもあります。

しかし、半年も過ぎると連絡が途絶えるようになります。

起業をあきらめる人が増えるからです。

それもそのはずです。

セミナーでは、本を読んだりネットで調べれば出てくるような一般的なことしか教わっていなかったと分かるようになります。

すると、一体何をしたいいのか分からなくなります。

当然、何も行動することができません。

「なぜ、あんなセミナーに通ってしまったんだろう」

という思いを抱えたまま、次第に日常に埋没するようになります。

そうなると、セミナーに参加した人たちと連絡を取るのも億劫になり始めます。

次第に、セミナーに参加したこと自体

「無かったもの」

として扱うようになってしまいます。

普通の人が選ぶべきもの

時間もお金も人脈もない、普通の人が自力でビジネスを興そうとすることが、いかにリスクの高いことなのか、お分かりいただけたことでしょう。

あなたは、時間もお金も人脈もある人ですか?

もしそうならば、起業を考えてもいいでしょう。

反対に、あなたも「普通の人」であるならば、起業を目指すことはおススメできません。

普通の人がビジネスを始めるならば

「リスクを回避する」

ことは絶対条件となるでしょう。

もちろん、ビジネスを始めるのですから、まったく「0(ゼロ)」にすることは難しいことです。

ネット時代ですから、必要な最低限の設備にはお金をかけなければいけません。

とはいえ、一般的な起業に比べたら、その費用は何十分の一にすぎません。

普通の人でも始められるビジネスはあります。

自分に合ったものをしっかりと見極めて、機会を得たらすぐに始められる準備はしておきましょう。

それが、普通の人でも成功するための「戦略」です。