第33条|定義

ネットワークビジネスを所管する法律として

「特定商取引に関する法律(通称:特定商取引法)」

があります。

特定商取引法の一部にネットワークビジネス(連鎖販売取引)についての規定があります。

ここでは、健全なネットワークビジネスを取り戻すために特定商取引法に関する理解を深めていきます。

ビジネスパーソンとして法律を理解することは重要です。

できるだけ分かりやすく簡潔に説明していきます。

条文

(定義)
第三十三条 この章並びに第五十八条の二十一第一項及び第三項並びに第六十七条第一項において「連鎖販売業」とは、物品(施設を利用し又は役務の提供を受ける権利を含む。以下この章及び第五章において同じ。)の販売(そのあつせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあつせんを含む。)の事業であつて、販売の目的物たる物品(以下この章及び第五十八条の二十一第一項第一号イにおいて「商品」という。)の再販売(販売の相手方が商品を買い受けて販売することをいう。以下同じ。)、受託販売(販売の委託を受けて商品を販売することをいう。以下同じ。)若しくは販売のあつせんをする者又は同種役務の提供(その役務と同一の種類の役務の提供をすることをいう。以下同じ。)若しくはその役務の提供のあつせんをする者を特定利益(その商品の再販売、受託販売若しくは販売のあつせんをする他の者又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあつせんをする他の者が提供する取引料その他の主務省令で定める要件に該当する利益の全部又は一部をいう。以下この章及び第五十八条の二十一第一項第四号において同じ。)を収受し得ることをもつて誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう。以下この章及び第五十八条の二十一第一項第四号において同じ。)を伴うその商品の販売若しくはそのあつせん又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあつせんに係る取引(その取引条件の変更を含む。以下「連鎖販売取引」という。)をするものをいう。
2 この章並びに第五十八条の二十一、第六十六条第一項及び第六十七条第一項において「統括者」とは、連鎖販売業に係る商品に自己の商標を付し、若しくは連鎖販売業に係る役務の提供について自己の商号その他特定の表示を使用させ、連鎖販売取引に関する約款を定め、又は連鎖販売業を行う者の経営に関し継続的に指導を行う等一連の連鎖販売業を実質的に統括する者をいう。
3 この章において「取引料」とは、取引料、加盟料、保証金その他いかなる名義をもつてするかを問わず、取引をするに際し、又は取引条件を変更するに際し提供される金品をいう。

解説

33条はネットワークビジネスに関する定義について定めています。

1項から3項までありますが、その内容をまとめると次のようになります。

ネットワークビジネスとは

物品の販売(または役務の提供など)の事業であって

②再販売、受託販売もしくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)をする者を

③特定利益が得られると誘引し

④特定負担を伴う取引(取引条件の変更を含む。)をするもの

と定義づけされています。

物品の販売と役務の提供

物品の販売とは、何かしらの商品(実体のあるもの)を売ることを言います。

役務の提供とは、何かしらのサービス(実体がないもの)を提供することを言います。

ほとんどのネットワークビジネスは、健康食品やサプリなどを販売しているので「物品の販売」に該当します。

販売(役務の提供)の斡旋

端的に言えば「勧誘」のことを言います。

商品やサービスを人に勧めて会員になってくれるよう働きかけること。

働きかけてくれる人がいるからこそ、ネットワークビジネスの主催会社は利益を上げることができます。

特定利益

端的に言えば「報酬プラン」のことです(マーケティングプランという場合もあります)。

「これだけの人数を勧誘して会員にすれば、これだけの報酬があなたに支払われます」

という報酬の分配方法は主催会社によって異なります。

特定負担

ビジネスを始め維持していくためにかかる費用のことです。

多くのネットワークビジネスでは、数千円から数万円、登録の際に必要となります。

また、登録は無料でも、所属するグループによっては毎月一定数の商品を購入するように指導されます。

これらすべては「特定負担」ということになります。

定義を理解する

法律を知るとき、「定義」はとても重要です。

一般的にネットワークビジネスは「口コミビジネス」的なイメージで捉えられていますが、イメージだけでビジネスをするのはあまりにも危ういことです。

法律に書かれている「ネットワークビジネス(連鎖販売取引)」とは何かをしっかりと理解しておかなければなりません。

法律を理解する気がなければ、ビジネスをしないほうがいいかもしれません。

ビジネスパーソンのたしなみとして、法律に慣れておきましょう。

第33条の2|氏名等の表示義務

本日は、特定商取引法33条の2についてお話します。

33条の2は「氏名等の明示」

つまり、ネットワークビジネスをする会社の名前などを明らかにしておきなさい、というルールを定めています。

ビジネスを一緒にやろうというのに、ビジネスを提供する会社の名前を伝えないことなどあり得ません。

会社員であれば、取引先やお客様に名乗るとき

「◯◯株式会社の▲▲です」

と、自分がどこの会社の人間なのかをちゃんと名乗るはずであり、社会人としてのマナーでもあります。

そして、商談するときは

「当社の商品は■■です。✕✕な特徴があります。」

と言わなければ、取引先やお客様に何も伝わりません。

そのマナーについて定めているものと考えてください。

条文

(連鎖販売取引における氏名等の明示)
第三十三条の二
 統括者、勧誘者(統括者がその統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)又は一般連鎖販売業者(統括者又は勧誘者以外の者であつて、連鎖販売業を行う者をいう。以下同じ。)は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者の氏名又は名称(勧誘者又は一般連鎖販売業者にあつては、その連鎖販売業に係る統括者の氏名又は名称を含む。)、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品又は役務の種類を明らかにしなければならない。

解説

それぞれの用語については、言葉遣いが分かりにくく理解しにくいかもしれません。

そこで、一つずつ解説していきます。

統括者

ネットワークビジネスにおけるタイトルホルダーの人と考えてください。

どのネットワークビジネスにも「タイトル」が設定されています。

そのタイトルホルダーが、大規模なミーティングなどを実施することで、現場で勧誘をしているネットワーカーを実質的に束ねています。

勧誘者

タイトルホルダーを除くネットワーカー全体のことをいいます。

タイトルホルダーに限りませんが、アップラインの指示を受けて勧誘活動を行っているネットワーカーはすべて含まれます。

一般連鎖販売業者

ネットワークビジネスの主催会社のことです。

見込み客に対して直接勧誘行為をするわけではありませんが、インターネットや各種SNSを利用して自社の製品やシステムを紹介しているという点では、広義の「勧誘行為」といえます。

 

これら、統括者・勧誘者・一般連鎖販売業者は、見込み客に対して次のことを必ず告げなければなりません。

①自己の氏名、あるいは主催会社の名称

相手に対して自分の名前を名乗らない、ましてやビジネスをしようとするのに自分の名前を名乗らないのは、ビジネスパーソンとして失格です。

また、自分の属している会社の名称を名乗らないことも同様です。

ただ、多くのネットワーカーは主催会社について告げずに勧誘行為をしています。

明らかに違法な行為なので、これから参加されようとしているあなたは決して真似をしないでください。

②ネットワークビジネスへ参加するのにお金を支払うこと

「特定負担」のことです。

ビジネスに参加することについてお金がかかるとき、そのビジネスはネットワークビジネスということになります。

反対に、1円もかからないのであればネットワークビジネスではありません。

時々「初年度無料」などという話を聞きますが、2年目以降にお金はかかるので「ネットワークビジネス」です。

③ネットワークビジネスへの勧誘であること

ここも多くのネットワーカーが守っていない部分です。

ネットワークビジネス関係者が登壇して、たとえ一部でもネットワークビジネスに関係することを話すのであれば、そのセミナーへ誘うことは明らかに勧誘行為です。

「セミナーへ誘っているだけだから勧誘じゃない」

というのは、もはや通じない言い訳です。

④商品やサービスの内容

扱っている商品やサービスについて、お茶を濁す言い方しかしないネットワーカーも大勢います。

例えば

「水素関係」「健康器具」

など、抽象的な言い方しかせずに、商品の特別さだけを強調してセミナーに誘います。

自分の扱う製品についてちゃんと伝えられない人を、誰が信用するというのでしょうか?

明示するのは義務

33条の2にある通り、主催会社などを明示するのはビジネスをするうえでの「義務」です。

義務を守れない人が一時期ビジネスを大きくすることができても、ビジネスを継続することはできません。

マスメディアを賑わす「成功者」がビジネスを長続きさせることができないことが多いのは、ビジネスパーソンとして、一人の人間として守るべきことを守っていないからです。

ビジネスパーソンとして成功するために大切なこと。

「ルールを守る」

それは基本中の基本です。

第34条|禁止行為

特定商取引法34条は、ネットワークビジネスをする際にしてはならないことを定めています。

ビジネスパーソンであれば当然のことですが、99%のネットワーカーはこのルールを平然と破っています。

アップラインと呼ばれる人たちも、法律についてほとんど学んでいません。

昔から伝わってきたやり方を頑なに守り、それが法律に違反していることでも変えようとしない。

だから、誤った勧誘方法を続け

「ネットワーカーなんてねずみ講でしょ!」

と思われてしまうのです。

ですから、法律が何を禁止しているのかを知ることはとても重要です。

条文

(禁止行為)
第三十四条 統括者又は勧誘者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗その他これに類似する設備(以下「店舗等」という。)によらないで行う個人との契約に限る。以下この条及び第三十八条第三項第二号において同じ。)の締結について勧誘をするに際し、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、次の事項につき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。
一 商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容その他これらに類するものとして主務省令で定める事項
二 当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
三 当該契約の解除に関する事項(第四十条第一項から第三項まで及び第四十条の二第一項から第五項までの規定に関する事項を含む。)
四 その連鎖販売業に係る特定利益に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、その連鎖販売業に関する事項であつて、連鎖販売取引の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの
2 一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の締結について勧誘をするに際し、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、前項各号の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。
3 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約を締結させ、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。
4 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所、代理店その他の主務省令で定める場所以外の場所において呼び止めて同行させることその他政令で定める方法により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該契約の締結について勧誘をしてはならない。

解説

条文が少し長いので、読むだけでも大変なことでしょう。

なので、少しずつ分かりやすく解説していきます。

重要事実の不告知・虚偽の告知

1つ目は

「相手に対して重要なことを言わないのは法律違反」

ということです。

ネットワークビジネスについて伝えるとき、会社名や商品・サービス、報酬プランなど伝えなければならないことはたくさんあります。

しかし、意図するしないにかかわらず、ビジネスについて重要なことを相手に告げないと、相手がビジネスについて誤った認識を持ったまま参加してしまいます。

誤った認識はトラブルのもとです。

2つ目は

「誤ったことを相手に伝えると法律違反」

ということです。

重要なことを伝えないのも問題ですが、嘘のことを告げるのはもっと問題です。

嘘は独り歩きします。誤った情報が周囲へ伝わってしまうとビジネスについて正しく理解されず、誤った情報に基づく臆測だけが飛び交う可能性があります。

威迫と困惑

一度は関心を持ってくれた人を手放したくないばかりに

「今すぐに登録しないとぶっ殺すぞ!」

「登録するまで、帰さないよ!」

と、相手を脅したり、困らせたりすることは法律違反です。

聴いた話ですが、登録するまで何時間もセミナールームに閉じ込めたという事件は、最近でも起こっています。

もはやビジネスとは言えません。

隔離した状態での勧誘

一般の人が出入りすることのできない場所で、目的も告げないで勧誘することは法律違反です。

「公衆の出入りする場所以外の場所」

というのが分かりにくいかもしれませんが、簡単に言えば

「街中で声をかけ言葉巧みにネットワークビジネスの事務所へ連れ込むこと」

と考えてもらえばいいでしょう。

つまり、勧誘行為はあくまでも一般の人が出入りすることのできる場所で行わなければなりません。

人としてしてはいけないこと

法律に規定していることは

「一般人の感覚として、こう考えることが常識だと思われること」

をまとめたものです。

34条に規定されている禁止行為は

「一般の人がしてほしくないことを並べているもの」

と理解してください。

ですから、法律で禁止されているからというよりも

「人としてしてはいけないこと」

と考えて、真摯に守ることが重要です。

第34条の2|合理的な根拠を示す資料の提出

今日は34条の2について、お伝えします。

34条の2は、ネットワーカーに直接関係のあることではありませんが、ネットワーカーが不実な行為をしていたことが明らかになった場合に重要な条文となります。

条文

(合理的な根拠を示す資料の提出)
第三十四条の二
主務大臣は、前条第一項第一号又は第四号に掲げる事項につき不実のことを告げる行為をしたか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該統括者、当該勧誘者又は当該一般連鎖販売業者に対し、期間を定めて、当該告げた事項の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該統括者、当該勧誘者又は当該一般連鎖販売業者が当該資料を提出しないときは、第三十八条第一項から第三項まで及び第三十九条第一項の規定の適用については、当該統括者、当該勧誘者又は当該一般連鎖販売業者は、前条第一項第一号又は第四号に掲げる事項につき不実のことを告げる行為をしたものとみなす。

解説

34条の2を要約すると

「所管する大臣は、MLM企業に不実な行為をしたことを判断するための資料を提出させることができる」

「資料が提出できないときは、不実な行為をしたものとみなされる」

ということです。

禁止行為とは

34条にネットワークビジネスに関わる人が行ってはいけない禁止行為が規定されていました。

振り返ってみましょう。

一 商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容その他これらに類するものとして主務省令で定める事項
二 当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
三 当該契約の解除に関する事項(第四十条第一項から第三項まで及び第四十条の二第一項から第五項までの規定に関する事項を含む。)
四 その連鎖販売業に係る特定利益に関する事項

条文のままでは読みにくいので、言い換えてみます。

1.勧誘から逃れさせないために、あるいは契約を解除されないために、次のような重要なことについて教えず、あるいは嘘のことを教えてしまうこと
①   商品の品質・性能について
②   マーケティング(報酬)プランについて
③   登録料やビジネスを継続するための費用について
④   契約を解除するための条件について

2.勧誘の際に、あるいは契約をした後で、相手が勧誘を断ったり契約を解除しないように、脅すなどして困らせること

3.勧誘目的を告げずに誘った相手を、一般の人が出入りできない場所で勧誘し契約させようとすること

というように、大まかに3つの項目になります。

ネットワークビジネスに関係する人は、これらの行為を固く禁じられています。

しかし、口コミ集客ネットワークビジネスでは、これまでに会員の不正な勧誘行為のために、多くの主催会社が行政の指導を受けています。

毎日、政府や関連する消費者センターなどでは、ネットワークビジネス主催会社に対する苦情が寄せられています。

政府は、私たちに知られないように、ネットワークビジネス主催企業に対する調査を日々継続しています。

「求めることができる」の意味

政府が調査した結果、会員が不実な勧誘行為をしている可能性が高いと判断できた場合、政府は主催企業に資料を出すよう求めることができます。

「求めることができる」

と条文に書いてあるのは、「強制ではない」という意味です。

これが強制であるならば

「主催企業は提出しなければならない」

という文言の条文になっているはずです。

ですから、ネットワークビジネス主催企業は、資料を提出しないという選択もできます。

強制ではありませんから。

「したものとみなす」の意味

みなすとは本来、法律用語的に書くならば

「看做す」

と書きます。

「看做す」とは、

「ある条件が充たされた場合に、ある結果が発生したことと同じと考える」

という意味になります。

もう一度条文を見てみると

「資料を提出しないときは・・(中略)・・不実のことを告げる行為をしたものとみなす」

という文章になっています。

そうです。

ネットワークビジネス主催企業が、政府の求めに応じず資料を提出しなければ、不実の行為をしたものとされてしまうのです。

ですから、資料の提出自体は強制でなくとも、資料を提出しなければ不実の行為をしたものとされてしまいます。

つまり、主催企業は資料を提出しなければならないのです。

まとめ

政府は、何の根拠もなしにネットワークビジネス主催企業に、資料を求めません。

長い期間をかけて調査をして、事実を確かめます。

つまり、政府が主催企業に資料の提出を求めるのは、調査の最終段階ということができます。

口コミ集客ネットワークビジネスでは、会員一人一人の行動を統制することは難しいので、いつの間にか法律に違反する行為が行われてしまいます。

資料を提出させる段階まで来てしまわないように、ネットワーカー一人一人が法律を理解する必要があります。

第35条|連鎖販売取引についての広告

特定商取引法第35条は、ネットワークビジネスの広告について規定しています。

「広告」

と一口に言っても、いわゆるテレビCMや電車内の広告、新聞や雑誌の広告を指しているわけではありません。

なぜなら、ネットワークビジネスは「口コミ」で販売網を広げるのが重要なので、マスメディアに対する広告は念頭にないからです。

ここでいう「広告」とは、ネットワーカーが紹介者へ、参加しているビジネスについて伝えることを主に指しています。

ネットワークビジネス企業が、ホームページにて自社の宣伝をすることも含みます。

条文

(連鎖販売取引についての広告)
第三十五条 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、その連鎖販売業に関する次の事項を表示しなければならない。
一 商品又は役務の種類
二 当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
三 その連鎖販売業に係る特定利益について広告をするときは、その計算の方法
四 前三号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項

解説

第35条は、統括者(いわゆるアップライン、タイトルホルダー含む)、勧誘者(ネットワーカー全般)、一般連鎖販売業者(ネットワークビジネス企業)に対して、広告をするときの義務を定めています。

その義務を一つずつ挙げていくと、以下の通りになります。

1.商品(役務)の種類
2.取引に伴う特定負担に関する事項
3.特定利益について広告をするときにはその計算方法
4.統括者などの氏名(名称)、住所、電話番号
5.統括者などが法人で、電子情報処理組織を使用する方法によって広告をする場合には、当該統括者などの代表者または連鎖販売業に関する業務の責任者の氏名
6.商品名
7.電子メールによる商業広告を送る場合には、統括者などの電子メールアドレス

①商品(役務)の種類

ネットワークビジネス企業が扱っている商品やサービスのことです。

②取引に伴う特定負担に関する事項

登録料や、毎月最低限利用すべき商品やサービスの金額のことです。

現在でも、将来でも、1円でもお金がかかるものは「特定負担」と考えてください。

逆に言えば、お金のかからないものは、ネットワークビジネスではありません。

③特定利益について広告をするときにはその計算方法

いわゆるマーケティングプランのことです。

ビジネスに参加して、どの程度まで紹介者を出して売り上げを伸ばせば自身の報酬につながるのかについてです。

マーケティングプランは、各社によって計算方法が異なります。

計算方法について説明できなければ、ビジネスをしているとは言えません。

④統括者などの氏名(名称)、住所、電話番号

ビジネスに参加しているものが主に法人の場合です。

法人であれば、従業員の名刺や自社のホームページに、氏名(名称)や住所、電話番号が記載されていることは当然です。

個人が広告をする場合には、参加しているネットワークビジネス企業のことになります。

⑤統括者などが法人で、電子情報処理組織を使用する方法によって広告をする場合には、当該統括者などの代表者または連鎖販売業に関する業務の責任者の氏名

法人がインターネットを使用して、ホームページやその他メルマガなど、見込み客にリーチする手段を使う場合を指します。

法人の代表者、ネットワークビジネスが法人の一部門であれば、その部門を代表する責任者を表示することは当然です。

⑥商品名

商品やサービスの名前を出すのは当然です。

⑦電子メールによる商業広告を送る場合には、統括者などの電子メールアドレス

電子メールを送るときに、送り主の電子メールアドレスを記載することも当然です。

まとめ

「ビジネスを伝える」

というとき、相手に対して伝えなければならないことは法律で明確に規定されています。

あなたが会ったことのあるネットワーカーは、あなたを誘ってきた時に、上の7つのうち、いくつ充たしていましたか?

もしかしたら、一つも充たしていない人もいたのではありませんか?

あなたがこれからネットワークビジネスをするにあたって、上の7つを自分の口からちゃんということができるのか、一度考えてみてください。

99%のネットワーカーは、紹介を出すことばかりを考えしまい、法律など全く意識していないのです。

あなたなら、ちゃんと守れると言い切れますか?

知識としてだけでも法律について知っておくことはとても重要です。

知っておけば、あなた自身を守ることになります。

第36条|誇大広告の禁止

特定商取引法36条は

「誇大広告等の禁止」

です。

ネットワークビジネスでは、事実とは異なることを知らずに相手に伝えてしまうことがあります。

「リクルートしたい一心で」

というのはわかりますが、法律で禁止されていることをしてしまうネットワーカーが多いのも事実です。

条文

(誇大広告等の禁止)
第三十六条 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について広告をするときは、その連鎖販売業に係る商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の内容、当該連鎖販売取引に伴う特定負担、当該連鎖販売業に係る特定利益その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

解説

誇大広告とは

「著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人に誤認させる」こと

であると条文の中では定義されています。

言い換えると
①(商品について)事実とかなり異なることを伝えてしまうこと
②(サービスについて)実際よりもとても良いものであると伝えてしまうこと
③(ビジネスについて)他社よりも稼げるビジネスであると伝えてしまうこと

という内容になります。

なぜなら、誇大広告の対象となっているのが、条文上
①   連鎖販売業に係る商品の性能若しくは品質
②   施設の利用し、若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の内容
③   当該連鎖販売業に係る特定利益その他主務省令で定める事項

の3つになっており、言い換えると
①   商品の品質の高さ
②   会員であることで受けられるサービスの内容
③   ビジネスで得られる報酬について

となるからです。

商品、サービス、報酬、この3つはネットワーカーがリクルートするときに、つい大げさに伝えてしまうことでもあります。

口コミ集客ネットワークビジネスでは、相手をリクルートすることが難しいので

「どうにかして紹介を出したい」

という思いが先立ってしまい、法律に反することに気づけないままリクルートしてしまいます。

よしんば会員になってくれたとしても、後から

「これだけ定期購入しなさい」

「ミーティングには毎回お金がかかります」

など、知らされていないことばかり聞かされるので

「騙された!」

という人が増えてしまうのです。

まとめ

口コミ集客ネットワークビジネスでは、100人と会って1人リクルートできるかどうかという厳しい世界です。

口コミ集客に関する悪評が、あまりにも知られてしまっているからです。

そうした悪評が立つのは、法律について学んでおらず、コンプライアンスの大切さを理解していないからでもあります。

ですから、法律について学んでおくことは、活動を継続していく上で重要になってくるのです。

第36条の2|合理的な根拠を示す資料の提出

特定商取引法36条の2は

「合理的な根拠を示す資料の提出」

です。

先日お伝えした34条の2と条文の内容としてはほぼ同じですが、適用される場面が異なります。

34条の2が「禁止行為」に関するものである一方、36条の2は「誇大広告」に関するものになります。

条文

(合理的な根拠を示す資料の提出)
第三十六条の二 主務大臣は、前条に規定する表示に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該統括者、当該勧誘者又は当該一般連鎖販売業者が当該資料を提出しないときは、第三十八条第一項から第三項まで及び第三十九条第一項の適用については、当該表示は、前条に規定する表示に該当するものとみなす。

解説

条文の内容としては34条の2と同じなので、その記事を参考にしてください。

第36条の3|承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止等

特定商取引法36条の3で規定されているのは

「承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止等」

についてです。

条文の中では「電子メール」とされていますが、一般的に言う電子メールに限りません。

現代ではLINEなどのSNSにも「1対1」のコミュニケーションツールがあります。

Facebookでいえば「メッセンジャー」、twitterでいえば「ダイレクトメッセージ」です。

それらを包括して「電子メール」としています。

条文

(承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止等)
第三十六条の三 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、次に掲げる場合を除き、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について、その相手方となる者の承諾を得ないで電子メール広告をしてはならない。
一 相手方となる者の請求に基づき、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引に係る電子メール広告(以下この章において「連鎖販売取引電子メール広告」という。)をするとき。
二 前号に掲げるもののほか、通常連鎖販売取引電子メール広告の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる場合として主務省令で定める場合において、連鎖販売取引電子メール広告をするとき。
2 前項に規定する承諾を得、又は同項第一号に規定する請求を受けた統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、当該連鎖販売取引電子メール広告の相手方から連鎖販売取引電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示を受けたときは、当該相手方に対し、連鎖販売取引電子メール広告をしてはならない。ただし、当該意思の表示を受けた後に再び連鎖販売取引電子メール広告をすることにつき当該相手方から請求を受け、又は当該相手方の承諾を得た場合には、この限りでない。
3 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、連鎖販売取引電子メール広告をするときは、第一項第二号に掲げる場合を除き、当該連鎖販売取引電子メール広告をすることにつきその相手方の承諾を得、又はその相手方から請求を受けたことの記録として主務省令で定めるものを作成し、主務省令で定めるところによりこれを保存しなければならない。
4 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、連鎖販売取引電子メール広告をするときは、第一項第二号に掲げる場合を除き、当該連鎖販売取引電子メール広告に、第三十五条各号に掲げる事項のほか、主務省令で定めるところにより、その相手方が連鎖販売取引電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示をするために必要な事項として主務省令で定めるものを表示しなければならない。
5 前二項の規定は、統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者が他の者に次に掲げる業務の全てにつき一括して委託しているときは、その委託に係る連鎖販売取引電子メール広告については、適用しない。
一 連鎖販売取引電子メール広告をすることにつきその相手方の承諾を得、又はその相手方から請求を受ける業務
二 第三項に規定する記録を作成し、及び保存する業務
三 前項に規定する連鎖販売取引電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示をするために必要な事項を表示する業務

解説

条文が長いので、各項について解説していきます。

言葉の使い方が、日常的な言葉遣いではないので、平易な言葉に直して解説していきます。

※条文では「項」を算用数字で、「号」を漢数字で表します。
(順番でいえば「条」「項」「号」の順になります。)

第1項

ネットワークビジネスの関係者は、次の場合だけ相手に「電子メール」を送ることができます。

①   相手から「送ってください」と依頼があったとき(1号)

②   役所が「相手を害することがないだろう」と認めたとき(2号)

これら以外の場合は、「電子メール」を送ることはできません。

第2項

相手から依頼があった場合でも、改めて拒否する旨の連絡を受けたときは、「電子メール」を送ることはできない。

とはいえ、再度依頼があった場合は除きます。

第3項

ネットワークビジネスの関係者は、相手から「電子メール」を送ってほしい旨の依頼があり送信する場合には、相手から依頼のあったことを記録して、その記録を保存しなければなりません。

第4項

ネットワークビジネスの関係者は、相手から「電子メール」を送るよう依頼があったとき、相手が「適切な広告」かを判断できるよう「電子メール」に広告を載せなければならない。

※(広告とは、商品やマーケティングプランのことを指します)

第5項

ネットワークビジネスの関係者が次のことを外部に委託しているときは、第3項と第4項の内容をその委託している業者に対しては適用しません。

①「電子メール」を送る承諾や依頼を受ける業務
②「電子メール」を送る承諾や依頼について記録・保存する業務
③「電子メール」に広告の内容を記載する業務

まとめ

ネットワークビジネスについて、メールなどを送るには相手の承諾が必要です。

ごく当たり前のことですが、守られていないからこそ規定が置かれています。

口コミ集客ネットワークビジネスでは、ネットワークビジネスに興味がない人にも誤ってリクルートしてしまうため、こうした規定が必要になってしまいました。

口コミ集客の限界の一つであるといえます。

コンプライアンスには十分注意しましょう。

第37条|連鎖販売取引における書面の交付

特定商取引法37条は、「書面の交付」についてです。

ネットワークビジネス企業は、会員になろうとする人に対してビジネスの詳細を記載した書類を渡さなければなりません。

ただし、その書類に記載すべきことも法律で決められています。

その内容について規定しているのが、特定商取引法37条です。

条文

(連鎖販売取引における書面の交付)
第三十七条 連鎖販売業を行う者(連鎖販売業を行う者以外の者がその連鎖販売業に係る連鎖販売取引に伴う特定負担についての契約を締結する者であるときは、その者)は、連鎖販売取引に伴う特定負担をしようとする者(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗等によらないで行う個人に限る。)とその特定負担についての契約を締結しようとするときは、その契約を締結するまでに、主務省令で定めるところにより、その連鎖販売業の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない。
2 連鎖販売業を行う者は、その連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約(以下この章において「連鎖販売契約」という。)を締結した場合において、その連鎖販売契約の相手方がその連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗等によらないで行う個人であるときは、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、次の事項についてその連鎖販売契約の内容を明らかにする書面をその者に交付しなければならない。
一 商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容に関する事項
二 商品の再販売、受託販売若しくは販売のあつせん又は同種役務の提供若しくは役務の提供のあつせんについての条件に関する事項
三 当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
四 当該連鎖販売契約の解除に関する事項(第四十条第一項から第三項まで及び第四十条の二第一項から第五項までの規定に関する事項を含む。)
五 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項

解説

特定商取引法37条は、書面を交付する場面によって第1項と第2項に分けて規定しています。

第1項

第1項は、リクルートされた人が会員となる「前」について規定します。

条文には、主務省令(管轄する省庁からの通達として出されるもの、法律ではない)に従った内容を記載した書面を、リクルートされた人に渡すことが必要だと書かれています。

その内容とは、次の通りです。

1.会社の名称・所在地・電話番号・代表者の氏名
2.(1.の記載が無理な場合)リクルートする人の氏名・住所・電話番号・法人であれば代表者の氏名
3.商品の品質や性能に関すること
4.商品名
5.商品の販売条件等
6.報酬の計算方法
7.ビジネスのために支払うお金について
8.契約の解除に関すること
9.クレームを言う場合のこと
10.禁止行為に関すること

いずれも、ネットワークビジネスを始めるために知っておかなければならないことばかりです。

「書面」と記載されていますが、必ずしも「紙」の書面を手渡さなければならないというわけではありません。

現代では、インターネットによる文章ファイルのやりとりが一般的になっています。

ですから、WordやPDFなどでも大丈夫です。

第2項

第2項は、リクルートされた人が会員となるために「契約をするとき」について規定しています。

条文には、具体的に記載されていなければならないことが書かれています。

その内容を整理すると、次の通りになります。

1.会社の名称・所在地・電話番号・代表者の氏名
2.(1.の記載が無理な場合)リクルートする人の氏名・住所・電話番号・法人であれば代表者の氏名
3.商品の品質や性能に関すること
4.商品の再販売やあっせんなどに関すること
5.商品名
6.商品の名称の表示について
7.報酬の計算方法
8.ビジネスのために支払うお金以外の負担について
9.契約年月日
10.契約の解除に関すること
11.クレームを言う場合のこと
12.禁止行為に関すること

赤字のものが、新たに加えられている内容になります。

それ以外の黒字の部分は、第1項で規定している、会員となる「前」に交付する書類と同じ内容です。

まとめ

ビジネスの世界では、契約を締結する前に合意した内容を確認するために書面を交付します。

また、改めて契約を締結するときにも、一部内容の重複する契約書面を取り交わすのは常識です。

契約というのは、本来、法律上お互いの同意だけで成立するものです。

では、なぜ契約書などの書面を取り交わすのか。

それは、万が一、同意という口約束に反する事態が起こったときに、公正に対処することが難しくなるからです。

「言った」「言わない」

の争いになっては、解決するものも解決しません。

だから、裁判になったときに、裁判官が

「書証(事実の存在を示すと思われる書類)を出してください」

と言うのも、事実の裏付けとして、事実を示す書類がないと法律に従った公正な判断ができないからです。

ですから、書面の交付はビジネスの世界では重要なことです。

それを肝に命じておきましょう。